はじめに
グラベルロードに乗り始めてから、いつか走ってみたいと思う道がいくつかできた。
徳島の「剣山スーパー林道」や、滋賀と福井を結ぶ「黒河林道」などなど。
そんな憧れの道のひとつが、今回走りに行った「但馬アルペンロード(瀞川氷ノ山林道)」である。
念願ともいえるライドの機会に恵まれたのは、今回一緒に走ってくれるこの人たちのおかげ。
数日前から天気が怪しく、開催できるかどうか心配していたものの、なんとか曇り予報に落ち着いたため、決行することになった。
ただ、ひとつ残念だったのは、直前になって24パイセンの都合がつかなくなってしまったこと。
今回は残りの3人で走ることになったが、終わってみると、やはり24パイセンともこの経験を共有したかったなと思うのであった。
そんなわけで、いざ氷ノ山グラベルへ。
いざ、氷ノ山へ
今回の移動は、ファラおさんに全面的にお任せする形。レンタカーに自転車と人間を詰め込み、現地へと向かった。
空模様は相変わらず怪しかったものの、雨は降っていない。ひとまず予定どおりスタートできそうだ。
今回のデポ地は「道の駅 村岡ファームガーデン」。但馬アルペンロードの入り口までは近く、走り始めてすぐに林道へのアプローチが始まった。

そして、いきなり登りである。

勾配自体はそれほどきつくない。しかし、休めるような区間がほとんどなく、じわじわと登り続けることになる。

しばらく登り続けると、辺りはすっかり霧に覆われていた。
せっかく眺望が良さそうな場所を通っても、目に入るのは白い霞ばかり。景色を楽しむどころではない。

途中から舗装と未舗装路が入り混じる区間に入った。いよいよグラベルライドらしくなってきた。


しばらく登り続け、途中の展望スポットに寄り道するものの、もちろん、辺りは真っ白。
展望スポットとはいったい……。

念願の「氷ノ山ストレート」へ
路面は比較的走りやすく、そこはありがたい。ただ、ここまでにかなり標高を稼いできたこともあり、頭の中はすでに「まだ登るんかい」という気持ちでいっぱいだった。

ひたすら登り続けること11km弱。急にまっすぐな道が現れた。
今回のルートの目玉のひとつに、「氷ノ山ストレート」というのがあった。
その名のとおり、まっすぐに伸びるグラベル区間である。
走っている道がストレートだったので、「ここが氷ノ山ストレートやったりして。」などと冗談を言っていたのだが、思いのほか長い直線が続く。
「まさか?」と思い、ルートを確認してみると……。
なんと、本当にここが氷ノ山ストレートだったのである!
しかし、霧が濃すぎて、道の先が見えない。話が違う。

本来なら、見通しの良い直線を気持ちよく走れるはずの場所。しかし、目の前に広がるのは相変わらずの白い世界である。
こうなってしまうと、せっかくの名所も何もあったものではない。

霧のダウンヒルは、修行。
その後は、霧というより霧雨と呼んだほうがよさそうな状況のなか、ダウンヒルが始まった。
路面そのものは決して悪くない。問題は、視界である。
ただでさえ濃霧で先が見えないというのに、メガネには水滴がついて、さらに視界が悪くなっていく。
仕方なく、指でメガネを拭きながら下ることになるのだが、これがなかなか大変。
いわゆる「指ワイパー」を駆使しながら、慎重に下っていく。

景色が良さそうな場所もところどころにあったのだが、当然ながら、まともに見渡すことはできない。
数メートル先すら怪しい状況では、せっかくの景色も想像するしかないのである。

こんな感じで、なかなかスリリング。というか、普通に怖い。

ぼくは一体どこを走っているんですか。

そうこうしているうちにダウンヒル区間を終えて、最初の山場を越えた様子。
しかし、今回のコースはここで終わりではない。
この先も、同じくらいの規模のアップダウンを繰り返すルートになっている。
つまり、まだまだ走らなければならないのである。
満場一致でショートカットを決断
次の登りに取りかかったところで、いったん状況を整理することにした。
この先の補給ポイントまでの距離や、現在の天候、残りのルートなどを踏まえて考えてみる。
そして、出てきた結論は……。
「これはちょっとつらい・・・」
もちろん満場一致である。

ちょうど少し先の分岐からショートカットできるルートがあったので、帰り道も決まった。
さっきまで疲労していたように思えるが、なぜか「帰れる」と決まると元気が湧いて出てくる。薄情なもんである。
ここで思わぬ展開が待っていた。
ショートカットで走った区間が、予想に反して雰囲気も良く、最高に楽しかったのである。

そのまま走り続け、無事にデポ地へ帰還。
時計を見ると、すでにお昼どきになっていた。
自転車を車に積み込み、ライドの〆としてランチへ向かった。

帰りの車中では、「なんか修行みたいなライドでしたね」などと話しながら帰ったのであった。
念願の氷ノ山グラベルは、最後まで霧の中だった。
おわりに
「氷ノ山グラベルを楽しめたか?」と聞かれると、正直なところ、ちょっと微妙である。
本来楽しみにしていた景色はほとんど見えず、目玉の氷ノ山ストレートも、その魅力を十分に味わえたとは言いがたい。
予定していたルートも途中で切り上げることになったので、ライド計画としては失敗だったのかもしれない。
それでも、個人的には「氷ノ山まで走りに行った」ということ自体が、意外と楽しかった。
天候に恵まれず、思いどおりにいかないライドもある。むしろ、そういう経験のほうが、あとになって妙に記憶に残ったりするものだ。
今回の但馬アルペンロードは、前半部分しか走れていないため、コース全体について評価するのは難しい。
ただ、実際に走ってみた印象としては、なかなかハードではあるものの、魅力のある道だと感じた。
おそらく、曇天でももう少し景色が見えていれば、印象はずいぶん違っていたはずだ。
とはいえ、大阪からのアクセスを考えると、「じゃあ、来週もう一度!」と気軽に行ける場所でもない。
また機会があれば…。そして、その頃には今回の修行のような思い出も、いい感じに美化されていることだろう。
そのときはぜひ、晴れた日の但馬アルペンロードを走ってみたい。

今回の軌跡
距離:49.52 km
タイム:3:04:47
平均速度:16.1 km/h
総上昇量:1,221 m




















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