この記事のもくじ
はじめに
ここ数年間で電動コンポ、パワーメーターなどと同様にユーザーに浸透した感のある「GPSサイコン」。
走行データの可視化や、走行中に知りたい情報(走行ルートや各種データ)を見るために、もはや手放せないアイテムとなっています。
今や参入するブランドも多く、エンドユーザーから見ると選択肢の幅も増えて嬉しい限りですね。
そんな中、とても気になっていた「Wahoo Element ROAM(v2)」を提供頂ける機会に恵まれましたので、今回レビュー記事を書いてみることにしました。
※「Wahoo Element ROAM(v2)」はWahooさんに提供いただきました。
スペック
「Wahoo Element ROAM」はWahooが展開するGPSサイクルコンピューターのフラグシップモデルです。
旧モデルからアップデートされたROAM(v2)へなってから、さらに機能は充実を見せ、色々とてんこもりな製品になっています。
まずはElement Roam(v2)がどういった製品なのか、簡単にスペックを見ていきましょう。
バッテリー | 充電式リチウムイオン |
サイズ | 89×54.4×17.8mm |
モニターサイズ | 2.7インチ |
画面解像度 | 240×400 |
カラー | 64色 |
重量 | 93.6g |
防水規格 | IPX7 |
稼働時間 | 17時間 |
無線通信方法 | ANT+ , Bluetooth , Wi-Fi , ANT+ FE-C |
人工衛星対応 | GPS / GLONASS / BEIDOU / Galileo / QZSS(みちびき) |
充電ポート | USB typeC |
さらに今回からElement Roam(v2)に実装された機能のいくつかをピックアップしてみました。
Element Roam(v2)の特徴
- 鮮やかな64色のカラースクリーン
明るく鮮明な2.7インチの64色カラーディスプレイを採用。データやマップが読みやすくなりました。(旧モデルは8色)
- デュアルバンドGPS
信号が妨げられる可能性のあるような環境下でのGPS精度が向上します。より正確なGPSデータを得られるようになります。
- メモリ容量を32GBにアップグレード
マップデータやルートデータなどの保存に大容量メモリを搭載。(旧モデルは4GB)
- Summit機能
ルートの先にある登りを事前に通知してくれる機能。勾配の緩急(斜度)を色で認識できたり、登りの開始/終了を教えてくれます。
- USB-C 充電ポート
今やスタンダードになりつつあるUSB-Cを採用。充電が早く済む!
- SYSTMトレーニング対応
Wahooのサブスクサービス「Wahoo X」を使用した屋内外トレーニングに対応。例えばスマートローラーWahoo Kickrとの組み合わせで、Wahoo Xのトレーニングプランを楽しむことができたりします。
こうやって基本的なスペックを書き出してみるだけでも、「さすがフラグシップモデル!」と言える機能の充実ぶりであることが分かります。
また旧モデルの弱点とも言える部分が、今回のアップデートによって見直された感じがありますね。
文字のスペックばかり見ていても分からないことばかりなので、実機を手に取ってみましょう。
開封してみた。
早速、開封していきますよ!
まず特筆すべきは、パッケージがめちゃくちゃかっこいいことだ。
引き出し型の感じ、とてもシャレてる。
本体
ELEMENTシリーズの特徴でもある、上部・左側にあるLED。通知やアラームなど、必要に応じて光ってくれます。
充電ポートはUSB C-typeを採用。
本体左側、右側下、そして下部に物理ボタンを配置。
これまで凹型だったボタンは不評だったようで、凸型に改善されています。それぞれのボタンも大きく、押しやすい設計。
マウントはWahooの独自マウント。
ちなみにこの本体平面が変わった形になっているのは、純正マウントを使用した時に真価を発揮するのであります。(詳しくは後述)
付属品/マウントなど
今回はバンドルセットを提供頂いたので、本体の外にTICKR(心拍計)、そしてスピードセンサーとケイデンスセンサーなどが付属。
そしてマウントは、アウトフロントタイプと汎用性の高いタイラップ固定タイプの2種類が付属。
タイラップタイプはステムなどに容易に装着ができます。
アウトフロントタイプは、「エアロ形状のマウント」という攻めた作りでおもしろい。
前述した通り、本体を取り付けると完璧なフィット感を見せてくれます。
Garminと比べて拡張性は低いものの、安定感は比べ物になりませんね。このマウント良いですね。
マウントに一緒に入っていたネジ。
何に使うのかと思ったら、マウントと本体を固定してしまうネジでした。
充電以外でケーブルを繋ぐこともないし、盗難防止/本体滑落防止だと考えると、これは良い施策なのかもしれないですね。
スマホと設定
次はスマホとの接続を簡単に見ていきます。
まずスマホにWahoo Fitness「ELEMENT」のアプリをダウンロード。
本体とスマホとのペアリングは、めっちゃ簡単でした。
本体に表示されるQRコードをアプリから読み取るだけ!
実際の画面はこんな感じ。
読み取ったら登録画面に移行するので、それぞれ順に進んで行けばOK。
登録が終わると「認証済み」になりました。
そこから色々と設定を進めて行きますが、どれも後から設定のやり直し・変更は可能です。
とりあえず案内される順番に簡単に見て行きましょう。
- 接続したいアプリを選択
私の場合はRide With GPSでルートを作って、ライドのログはStravaにアップロードしているので、この二つを選択。
スマホでそのサービスにログインされている場合は、選択するだけでOKでした。
言わずもがなGarmin Connectには非対応なので、なんとしてもデータを読み込ませたい場合は、一覧にある「dropbox」をチェック。そちらに保存されたデータをGarmin Connectへ・・・という手順になりそうですね。
- ユーザー情報を入力。
ここにFTPとか最大心拍数とかの入力欄もありました。
- ライブトラックを設定。
ほかのユーザーに自分の居場所を知らせるライブトラックの設定。
これ仲間内の共有したい場面以外はオフで良いと思います。
続いてはマップ。
マップは自動的にダウンロードされるので、特にここで設定は必要ありません。
- オンボードルーティング
ルーティング(行先を選んで自動ルート作成する機能)を使用する際に、自宅や勤務地など頻繁に使用する場所があれば登録できます。
ELEMENTシリーズを使っていた方は、環境設定を引き継ぐことができます。
そして流れのまま地図のダウンロード画面へ。
ここまでの設定で、ようやくアプリのメイン画面にアクセスできるようになります。
- センサーをペアリング
同期させたいセンサーがあれば、本体の近くで起動させてペアリングしましょう。
下部のタブから「設定」を選ぶと、各種設定画面が開きます。
- ページのカスタマイズ
この項目、並び順や固有名詞が分かりにくい箇所があるので要注意です。
まずこの違いが分かりにくい。
ラップページ = 走行中に「ラップボタン」を押したときに、切り替わる画面。
ワークアウトデータ = 走行中の通常画面。(データ表示、マップなどなど)
「ワークアウトデータ」というのが、標準画面を意味します。非常に分かりづらい。
ライド中の表示項目は、11種類登録ができます。
他にはSummitの画面(標高/セグメント)のデータ項目も設定可能。
マップ画面は、地図以外にデータフィールドは二項目設定可能。後は標高データON/OFFなどの設定ができます。
この辺のデータ項目の設定画面では、日本語の翻訳が微妙なワードがいくつかあって分かりにくい所がありますね。(パワーは「電源」と書かれていたりする。)
これは早急に直してほしいところ・・・
これらの表示項目は、サイドの物理ボタンで拡大/縮小することによって、必要な項目を絞ることができます。要は拡大すると下の項目が画面から消える形になるので、上から優先項目を…という具合になるわけです。
このシステム、非常に使い勝手が良いですね。
そしてこの設定を編集しているとき、リアルタイムにサイコンの表示に反映されるんですね。
これが嬉しいポイント!
Garminで一番めんどくさい設定作業が、Wahooでは簡単にできてしまうのは、ちょっとショッキングでした。
- 地図の設定
日本をはじめとする、世界の地図のダウンロード、およびデータの消去などができます。
最初から各世界の地図データが入っているようですね。
- LEDとサウンド
サイドとトップのLEDをそれぞれ設定できます。
サウンドの項目に音量調整できるところがあれば良かったなぁ。
- ルートの選択
先ほど連携をしたアプリにルートがあれば、ここに表示されます。
データはROAM本体にも自動同期されるので、Garminでは「特定のルートだけ同期する」という作業が必要でしたが、ROAMでは不要ですね。
それ以外に、人からもらったgpxファイルや、Wahooの同期できないサービス(Garmin Connectなど)で作ったルートを読み込む方法は、この2パターンが考えられますね。
ルートデータを対応サービス(Stravaなど)へ読み込ませて、経由させて同期!
ルートデータ(gpxファイルなど)をダウンロードして直接読み込む!
- ワークアウトを選択
デフォルトのワークアウトは数種類のみ。
外部サービスとの連携も可能です。どのサービスも入ってないので詳しくは分かんないです。
これの発展形が「SYSTM」になってくるんでしょう。
SYSTMは使ったことがないので割愛。
実際に使ってみて
設定が終わったら早速実用してみよう!ということで、最近のライドには必ず連れ出して使っています。
第一印象は、「大きい!」そして「画面見やすい!」
Garmin Edge530と比較しても一回り大きく、単純に見やすい印象です。なんかカラー分けの表示が良い仕事してます。
単純にボタンが大きくて押しやすいのも良いですね。
私の使い方だと「予定していたルートをトレースして走る」というスタイルがメインになりますので、そういった目線での所感を書いてみました。
ルートナビ関連機能が充実
設定のところでも触れたルートの取り込みですが、連携しているサービスのルートであれば、WIFIの設定さえしていればスマホがなくても端末のみの操作でルートを取り込めます。
これがとても便利!
家を出る直前でも、端末だけでパっと同期できるのは強い。
走行中のナビゲーションでは、各種通知/アラートで情報を教えてくれます。
曲がる場所が近づいてくると、通知のほかにサウンドと上部のLEDで教えてくれます。
ルートにキューシート情報があれば、アラートに交差点名が表示されるのもありがたい。特に街中だと分かりやすくて助かりました。
そして容易にマップの拡大縮小ができるのがとても良い!
本体サイドボタンで簡単にできるので、走行中の操作もストレスになりませんね。左右同じ位置にボタンがないので、押し間違いが起きにくいです。この辺りはちゃんと配慮された設計だなぁと感じました。
Garmin Edge530だと、拡大/縮小のためにボタン操作が複数回必要だったり、押し間違いも良くあるので、この辺の操作性はありがたく思いました。
後、その場でルートを反転させたり、別のルートを読み込ませたりと、細かい機能も直感的に操作できるのはWahooの強みだなと感じました。
- ルーティング
ルーティングも使ってみました。
問題なく目的地までのルートは作成してくれますが、ルートの選定が「徒歩ルート」が基準になってると思われます。
距離優先みたいなところがあるので、走りやすいルートは期待できないかもしれませんが、出先で「何とか迷わず目的地までたどり着きたい!」というときは、心強い味方になりそうです。
- POI表示がない?
ルート途上にポイント(POI)を設定した場合、マップ上にアイコンのようなものは出ないと思われます。
ただキューシート情報は表示されるので、「ポイントまで~km」という情報は得られますね。
Summit(wahoo)とClimb Pro(garmin)の違い
ルート上の登坂区間を知らせてくれる新機能のSummit。
GarminのClimb Proと同様な機能の印象ですが、同じコースでも感知する「登り」は違っていて、Summitのほうが敏感な感じです。細かい登りも教えてくれます。
先日のルートだと、登り区間と判定されたのは、Edge530で10箇所、ROAMで21箇所でした。
Summitのほうが情報は細かく、この五波峠を登っているときの情報はSummitのほうが正確な印象でした。そして勾配表示がとても見やすい。
(使用している地図のせいなのか、Edge530だとピークまでの標高差がウソレベルの誤情報でした・・・)
その他の機能面
- バッテリーは公称17時間
先日のライドの際は「10時間使用で残りは4割弱ほど」だったので、スペック通りかな。
道中はリアビューレーダーをペアリングして各種音はオン設定。
ディスプレイは暗闇でなければよく見えるので、バックライトはオフ。
走行中はマップ画面に固定していました。
これだけ充電が持てば、私のようなライドスタイルだとなんの問題もないですね。
- デュアルGPSの恩恵か!?
実は以前に「WahooはGPSが弱い」みたいな評価を聞いたことがあったんですが、ROAMではそんなことは全く感じませんでした。
むしろ美山の五波峠を走った部分もGPSが迷わずきれいにログが残っていたので驚きました。これがデュアルGPSの恩恵なのか…!?
デュアルGPSが関係あるか分からないですが、トンネル出た時の再捕捉も早くて問題なかったですね。
- リアビューレーダーをつなげた時
リアビューレーダーをペアリングしたときの表示はこんな感じです。
直感的に分かる画面表示はもちろんですが、接近を知らせるアラート(サウンド音)がめちゃくちゃ派手です。
私のみならず、同行者にも知らせるくらいの大きさで、機能を発揮しまくってくれます。
もちろん表示(画面表示/LED)や音の有無などの設定はできます。ただ音のボリュームの設定はできないようで・・・。
本体の電源を切るときも大きい音が鳴るんですが、それも場所によってはドキっとしちゃうので、この辺のボリューム調整とかできると嬉しいかな。
まとめ
GPSサイコンという分野では、Garminから後発で出てきた印象が強く、正直GPS精度などで優劣が付くかと思っていました。
しかし実際にROAMを使用してみると、GPSサイコンとして完成されている印象で驚きました。
もちろん、それぞれの製品思想や、使う側の個性によって感じられる一長一短はあるものの、ハイエンドGPSサイコンとして必要なものはすべて備わっている気がします。
特にナビ関係は、細かい機能が充実していて驚きました。
Wahooが参入し始めたころのELEMENTシリーズから、大きな進化をしているのも感じられたので、このままGarminとは違う進化をしていくWahooの今後の製品も楽しみになりました!
GPSサイコンで迷っている人は、ぜひ選択肢に入れてみてくださいな!
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